インプラント
インプラントを考える前に知っておきたいこと。
なぜ、歯科医師はブリッジ・入れ歯をおすすめしないのか?
歯の本数は何本あるかご存知でしょうか?
親知らずを除いて合計28本あります。
「28本もあるなら、1本くらい無くなっても生活には影響ないだろう?」とお考えの患者さまも少なくありません。
しかし、28本の歯1本1本にはそれぞれの役割分担があります。
例えば、あなたが会社に出勤したところ、隣の席の同僚が休んでいた場合、両隣りの社員が休んだ人の仕事をカバーしなければなりません。通常の5割増しの仕事量をこなさなければならないのです。
同僚の欠席がずっと続くと、やがて両隣りの社員は過労となり、会社に出て来れなくなります。そして、その隣りの人も過労となり…という連鎖の結果、会社には誰も来られなくなり、つぶれてしまうのです。28本の歯も同じことなのです。
たった1本歯を失うと、やがて総入れ歯になってしまう
たった1本でも歯を失うと、その隣の歯にブリッジまたは入れ歯をひっかけて(載せて)補うのですが、5割増しの負担により、隣の歯もグラグラして抜けてしまうことになります。
さらに、例えば右側に部分入れ歯が入った場合、入れ歯ではしっかりと噛めない(天然の歯の20〜40%ぐらいの力しかかけられない)ため、入れ歯の入っていない左側ばかりで噛むようになります。すると左側は通常の2倍の仕事量をこなさないといけなくなり、こちらも弱ってきてしまうのです。
歯を失っていくドミノ倒しをくい止める、たった1つの方法
では、歯を1本失ったら、あとはドミノ倒しのように歯が失われていくのを黙って我慢する以外に方法はないのでしょうか。
会社であれば、1人退職したら、新たに1人採用すれば問題をくいとめることができます。では歯の場合は?
それが、インプラントなのです。インプラントが歯科の歴史上で最大の発明だと言われるのは、こういう理由なのです。
両隣りの歯の仕事量を増やさないように、人工の歯を入れるわけです。それによって、ドミノ倒しをくいとめられること、そこにインプラントの最大の値打ちがあるのです。
どれだけ歯磨きをがんばっても、歯を失うことがある
歯を失う原因は、虫歯と歯周病、この2つについては多くの患者さまもよくご存知です。しかし、3つ目の原因はあまり知られていません。それが、「力」なのです。
先に説明したように、1本の歯を失った時、その両隣りの歯に1.5〜2倍の負担がかかります。この力の負担によって歯が失われていくのです。
そのため、一本でも歯を失うと、どれだけがんばって歯磨きをしていても、次第に1本、また1本と歯が失われてしまうのです。
インプラントの問題点
その発明以来、すでに40年以上の歴史があり、世界的に普及しているインプラント治療ですが、いくつか問題もあります。
それは、
①外科手術が必要である
②治療期間が、入れ歯・ブリッジよりも長い
③費用が、入れ歯・ブリッジよりも高い
の3点です。
①の外科手術ですが、実際にインプラント治療を受けた患者さまに聞くと「普通の歯の治療と変わらないくらい簡単だった」「親知らずの抜歯の時の方が痛かった」という声がよく聞かれます。つまり、麻酔技術と痛み止め薬をうまく使うことで、ほとんど痛みの無い治療が可能になっているのです。
②の治療期間は、ケースによって異なることもありますが、下の歯で3〜4ヶ月、上の歯の場合だと4〜5ヶ月の期間が必要となります。これは主に、人工の歯の素材であるチタンとあごの骨がしっかりと結合するのに要する時間です。
③の費用については、保険適応とならないため、入れ歯やブリッジよりは高額となります。ローンなどの分割支払いもありますので、スタッフにご相談下さい。
しっかり噛めることが健康・長寿のカギに
この3つの問題点を考慮しても、なお、インプラントにはそれを大きく上回るメリットがあります。自分の歯と同じようにしっかり噛めることは、最近の研究によると、認知症の予防、糖尿病など生活習慣病の予防、転倒から寝たきりになるリスクの低減、など、全身の健康と関係があることがわかってきました。
いつまでも元気なままで長生きできるかどうか、それは、1本の歯を失った時にインプラントにするかどうかにかかっている、といっても言い過ぎではないのです。逆から言えば、インプラントという治療法のおかげで、寝たきりや認知症などのリスクを小さくすることが可能なのです。
審査診断の重要性
インプラント治療を安全に行うために最も大切なことは審査診断です。オペ前にきちんと審査しないのは地図を持たずに旅に出るのと同じくらい危険なことだからです。
三浦歯科医院では必ず院長先生が一人一人の患者様のCT画像、模型などを確認し、骨密度や骨幅、血管の位置等を確認しながらインプラントを入れる適正な位置を決定します。このとき、オペに携わるスタッフも同席しどのようなオペになるかのレクチャーを受け、インプラントオペの準備へ入ります。
骨がなくなってしまった方のインプラントもできます!
一言でインプラント治療といっても誰でも行なえるわけではありません。特に抜歯をしてから長期間経過していたり、歯の根が感染していたなどのケースで、インプラント治療に必要な骨がそもそも無くなっていた場合は治療が難しくなることがあります。
しかし、そんな方でも大丈夫です。当院では下記の方法で無くなった骨の再生療法も行っております。
上顎洞挙上術(サイナスリフト・ソケットリフト)
上顎臼歯部の上部には上顎洞という空洞があるため、インプラント体を埋入するのに十分な骨の量が確保できないことがあります。そこで、骨量を確保するため上顎洞底部を持ち上げて隙間を作り、骨移植や再生療法などで骨造成を誘導する治療法です。
GBR(骨誘導再生)法
無くなってしまった歯槽骨や顎骨などの骨組織の再生を促す治療方法です。インプラント治療で十分な骨がないときに行います。
インプラント治療の流れ
1診査・診断 ⇔ CT検査
抜歯。骨が少ない方に対して造骨処置(GBR)していきます。
2一次処置(埋入)⇒ 消毒 ⇒ 抜糸
1.5~6カ月
3二次処置 ⇒ 消毒 ⇒ 抜糸
4仮歯の作成
歯垢や歯石の除去をしていきます(数回の来院が必要です)
5上部構造型取り(本型取り)
6上部構造の装着
7メインテナンス
3ヶ月毎に定期検診とクリーニングを行います
インプラントの症例
当院で治療いただいた症例をご紹介いたします。画像をクリックいただくとPDFをご覧いただけます。
症例1:47歳女性、既往歴無し
主訴:左下の歯ぐきが腫れている、以前から腫れを繰り返している
治療後アンケート:見た目がきれいになりブリッジしていた歯ぐきが痛くなくなった
症例2:56歳男性、既往歴無し
主訴:前歯が動いて噛めない、義歯が落ちやすい、ブラッシング時出血する
治療後アンケート:口内全体のインプラントで期間はかかりましたがきれいになり食事も満足にできるようになりうれしく思います
症例3:76歳女性、既往歴:リウマチ・糖尿病・脳梗塞
主訴:義歯が合わない、食事がおいしくない
治療後アンケート:何でも食べられて自分の歯になった事が嬉しい。初めは怖かったが必要ならまた受けたいと思う。知人にも紹介したい。
インプラント治療についてのQ&A
- Q1, インプラントの手術は痛いですか?
-
外科手術にはなりますのでまったくの無痛というわけにはいきませんが、手術中は完全に麻酔下で行いますので痛みを感じることはありません。
術後の痛みについては行った手術の内容にもよりますが、痛み止めの薬が十分に効く程度だと思ってください。
- Q2, インプラント治療はどれくらいの期間かかりますか?
- 下の歯で2~4ヶ月、上の歯で4~6ヶ月程度です。
ただし、骨が少ない方で造骨手術を受けられた方はプラス2~6ヶ月かかることもあります。毎週来院しなければならないというわけではなく、インプラントが骨にくっつくまでの期間にそれだけかかります。
- Q3, インプラントはどれくらい保つものなのですか?取れてしまったりしないのですか?
- インプラントが取れてしまう原因としては、内因的な要因と外因的な要因に分けて考えられます。
- Q4. 年齢制限などはありますか?
- 18歳未満の方はできません。
高齢者もインプラントは可能ですが重度の糖尿病や骨粗鬆症の方、他にも内因的な理由でできない方もいらっしゃいます。ご心配な方は一度ご相談ください。