院長の三浦です。
こんにちは。
「歯原性菌血症」という言葉をご存知でしょうか?
菌血症とは血液の中に入り込んだ細菌が、毒素を放ちながら増殖し、
全身を巡りながら慢性的に体を蝕んでいく状態です。
通常は血管の中に菌は入らないのですが、身体の中でただ1カ所、
日常的に細菌が血管内に入ることが出来る場所が有ります。
それは口腔内で、
虫歯の穴と、
歯周病で歯と歯茎の境目にある歯肉溝が炎症を起こし潰瘍の状態になっているポケットです。
この口腔内の「傷口」から細菌が侵入する菌血症を「歯原性菌血症」と言います
口腔内常在菌と呼ばれる細菌の約3割は歯周病菌や虫歯菌といった毒素を持つ悪玉菌です。
この悪玉菌が歯の表面にバイオフィルム(細菌がスクラムを組んだようにへばりついて糖質の鎧を着た状態)を形成し、
どんどん増殖します。
虫歯や歯周病を進行させるばかりでなく、
虫歯の傷口やポケットの潰瘍から血管内に侵入するのです。
一見健康な人の体の中でも、慢性的に菌血症の状態が続くと、
気づかないうちに全身の血管でじわじわと炎症を進行させ、
血管を劣化させていきます。
炎症を起こしたところで血栓ができ、血管が詰まると、
心臓では心筋梗塞、脳では脳梗塞、脳の毛細血管のなかでじわじわ詰まってくると認知症、
そのほか、動脈硬化、ガン、リュウマチなど、種々の慢性病の原因となることがわかってきました。
それを可能にしたのは最新のDNA解析技術です。
その人の疾患部位で採取した細菌と、その人の口腔内細菌のDNA が一致することが
証明できるようになったからです。
「犯人はこいつだった!」というわけです。
この病原菌の塊、バイオフィルムは歯垢(デンタルプラーク)が糖質の鎧を着た状態です。
デンタルプラークを毎日の歯磨きで取りきることが出来なければ、
取り残しは糖質の鎧ができて、歯みがきでは取り除けなくなります。
さらに唾液中のカルシウムやリン酸によって石灰化して歯石になります。
そこで、歯科診療では、歯石の段階まで進んだバイオフィルムを器具を用いて物理的に砕いて、
専門的なおそうじPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaninng)を行います。
歯科の定期検診が身体全体の健康のためにも重要なことをお分かりいただければ
幸いです。